有給消化中に転職先で働くのはOK?おすすめの過ごし方を解説

転職は多くの人にとって重要なステップです。しかし、有給休暇の消化中に新しい職場で働くことは許されるのでしょうか?この記事では、転職先で有給消化中に働く際の注意点やリスク、そして現職と転職先の間でスムーズに移行するためのヒントを解説します。

転職活動と有給消化

転職を考える際、現職の有給休暇をどう利用するかは重要なポイントです。「転職活動中の有給消化」と「有給消化中の転職先での勤務」の2つの観点で解説をしていきます。

転職活動を有給消化中にするのはOK

有給休暇中の転職活動は、多くの場合問題ありません。面接の準備や求職活動は、通常の業務時間外に行うことが可能ですし、この期間を利用することは効率的です。しかし、この時期に転職活動に専念する場合、現職の業務や責任に支障をきたさないよう配慮が必要です。また、現職の同僚や上司に対して、転職活動を行っている事実を伝えるタイミングや方法にも注意が求められます。

転職先で有給消化中に働くのは兼業にあたる

有給消化期間中に転職先での業務を開始することは、多くの企業の就業規則で禁じられている「兼業」とみなされる場合があります。特に、現職の業務内容や業界が新しい職場と類似している場合、競業避止義務に抵触する恐れもあります。このような行為は、懲戒の対象となることもあるため、転職先で働く前には、現職の就業規則を確認し、必要であれば人事部や法務部に相談することが賢明です。

転職先で有給消化中に働く際の注意点

転職先で有給消化中に働くことを検討する場合、いくつかの重要な注意点があります。これから紹介する注意点を怠ると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があるのでしっかりと確認をしましょう。

現職と転職先両方の就業規則を確認する

有給消化中に別の仕事をする前に、現職と転職先の就業規則を徹底的に確認することは非常に重要です。兼業禁止の規定や競業避止義務に関する条項は、特に注意が必要です。これらの規則は、業界や会社の方針によって大きく異なることがあるため、事前に詳細を把握しておくことがトラブルを未然に防ぐ鍵となります。

また、規則があいまいで理解しにくい場合や、特定の状況に適用されるか不明な場合は、積極的に人事部や法務部に相談してください。自己判断で行動すると、思わぬリスクに直面する可能性があります。さらに、これらの規則がどのように適用され、どのような場合に違反になるのかを具体的に理解することで、自身のキャリアを守ることにもつながります。

雇用保険は二重加入不可

雇用保険に関しては、法律で二重加入が禁止されています。現職の雇用保険が有効な間に新しい職場で働き始めると、二重加入の状態になる可能性があります。このような場合、雇用保険の加入状況は労働基準監督署を通じて管理されているため、速やかに問題が発覚することになります。

二重加入が発覚した場合、法的な問題だけでなく、両方の会社からの信頼を失う可能性もあります。そのため、転職先での仕事を開始する前に、必ず現職の雇用保険がどのように扱われるのかを確認し、必要な場合は適切な手続きを行うことが重要です。雇用保険の加入状況は、個人の社会的信用にも影響を及ぼすため、慎重な対応が求められます。

転職先に有給消化中である旨を伝える

転職先に対して、有給消化中であることを正直に伝えることは、将来の信頼関係構築に非常に重要です。透明性をもって自身の状況を伝えることで、転職先の理解と協力を得やすくなります。特に、現職の有給休暇中に転職先で働くことが合意された場合、その事実を開示しておくことは、両職場間の誤解やトラブルを防ぐうえで非常に重要です。

また、現職と転職先の双方ともに、自身の状況を理解してもらうことで、転職過程全体がスムーズに進むよう助けてくれる可能性が高まります。

転職先で有給消化中に無断で働く際のリスク

有給消化中に転職先で無断で働くことは、さまざまなリスクを伴います。これから紹介するリスクは、キャリアに長期的な影響を及ぼす可能性があるため、しっかりと確認しましょう。

保険の関係ですぐにバレる

無断で転職先で働き始めた場合、雇用保険や社会保険の手続きを通じて、この事実がすぐに明らかになる可能性が高いです。雇用保険は会社ごとに管理されており、二重加入はすぐに発覚します。このような状況が発生すると、信頼性の失墜や法的な問題につながりかねません。

懲戒処分により退職金が減額する恐れがある

現職の就業規則に違反した場合、懲戒処分の対象となる可能性があります。これにより、退職金が減額されるなどの不利益を被る恐れがあります。特に、兼業が禁止されている場合、このリスクは高まります。

内定を取り消される可能性がある

無断で転職先で働く行為は、転職先に対しても良くない印象を与えます。これが原因で、内定が取り消される可能性も否定できません。信頼性や職業倫理を疑われる行為は、転職活動全体に悪影響を及ぼすことがあります。

現職・転職先ともに有給消化中に働く同意を得たらすること

もし現職と転職先の双方から有給消化中に働くことについて同意を得られた場合、いくつかの手続きが必要になります。

有給残数を確認する

現職と転職先の両方で合意を得た場合、まずは現職での有給休暇の残数を確認しましょう。これにより、どの期間が働けるか、どの期間が休暇として取得できるかを明確にできます。有給休暇の管理は自身の責任であり、この情報は今後のスケジュール調整に不可欠です。

「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出する

現職を退職し、新たな職場に移る際は、「雇用保険被保険者資格喪失届」の提出が必要になります。この手続きを適切に行うことで、雇用保険の適切な管理が可能となり、法的な問題を回避できます。

入社日までのおすすめの有給消化中の過ごし方

転職先への入社が決定し、有給消化期間が確保された場合、その時間を有効に使う方法はいくつかあります。この時期は、新しい環境への適応を助けるための準備期間としても非常に価値があります。以下おすすめの過ごし方を3つ紹介します。

転職先で必要なスキルを身に着ける

有給消化期間を利用して、転職先で求められるスキルや知識を学ぶことは大変有益です。オンラインコースやセミナーに参加することで、新しい職場でのスタートをスムーズにすることが可能です。また、これは自己成長の機会としても最適です。

引っ越しや手続きなどを済ませておく

新しい職場への転職に伴い、引っ越しが必要な場合は、有給消化期間中にこれらの準備を行うことをおすすめします。また、転職に伴う各種手続きもこの期間に済ませておくと、入社後の負担を軽減できます。

旅行に行く

心身のリフレッシュのために、短期間の旅行を計画するのもおすすめです。転職してすぐは、新しい環境に慣れるまで忙しい日々が続くことが多いです。また、転職したばかりでまとまった休日を取るのが難しい場合もあります。

有給を利用して、転職前の羽休みとして、日々の疲れを癒してみてはいかがでしょうか?

まとめ

有給消化中に転職先で働くことは、法的および倫理的な観点から慎重に考える必要があります。現職と転職先の就業規則の確認、保険関連の手続き、そして両方の合意のもとでの行動が鍵となります。この期間を上手に活用することで、新しいキャリアのスタートをスムーズかつ効果的にすることができます。